世帯収入とは世帯全体の年収のことであり、旦那のみの年収の場合と夫婦合算した年収のどちらかであることが多いです。
収入金額によっては旦那のみ1,000万円稼ぐよりも、夫婦で500万ずつ合計1,000万円稼ぐほうが税金面などで得をする場合があります。
今回の記事では、どういったワークスタイル(働き方)が一番おすすめなのか、世帯収入を上げる方法とともにご紹介します。
節約が苦手なら世帯収入を上げることがおすすめ
貯金額を増やす時に、まず節約を行う人が多いと思いますが、中にはどうしても節約が出来ない・苦手だと言う人もいるでしょう。
貯金額というのは基本的に収入から支出の差を指すことが多く、収入と支出の差を大きくすることで必然的に収入は増えます。
ここで大切なのは、収入を上げた後も支出額を増やさず今まで通りの生活を続けることです。そうすれば節約をせずに貯金額を増やすことが出来ます。
厚生労働省の調査によると、平成28年度の全世帯の平均年収は560.2万円となっていますが、年収格差も広がっているため一部の高所得者で平均値は釣り上がっています。
実際には平均値である560.2万円以下の世帯は全体の61.5%程度です。
世帯収入を増やすためには?
では、世帯収入を増やすためにはどうしたらいいのでしょうか?
職業の選択肢が大幅に増えている現在、夫婦間で色々な仕事の組み合わせが存在します。今回紹介するのは多くの家庭で選択されている組み合わせです。
夫婦ともに正社員
夫婦ともに正社員として働くことで、かなり安定した経済的余裕が出来ることがメリットです。
またボーナス月には1人よりも倍のボーナス収入が期待できるため、年金は夫婦ともに厚生年金を支払っていた場合、より多くの年金がもらえるため老後の生活に対する不安も減らすことが出来ます。
ただデメリットとして、小さい子どもが居る場合は夫婦ともに正社員としてフルタイムで働くことは難しく、保育料や託児所代といった支出の増加の可能性があります。
1人が正社員、1人がパートまたはアルバイト
子どもがいる夫婦であれば、1人が正社員、1人がパートまたはアルバイトといった、一方が制限をかけた働き方を選択する事が多いでしょう。
2018年1月から配偶者控除の改正が行われ、世帯主が所得控除38万円を受けられる配偶者の年収上限が103万円から150万円に引き上げられました。
ただ、所得税を支払わなければいけないボーダーラインは引き続き103万円なので注意してください。扶養となっている人物の年収によって扶養から外れるかどうかが変わってきます。
- 103万円を超える→所得税の支払
- 130万円を超える→健康保険や年金の支払い+扶養から外れる
また、住民税に関しては住んでいる場所によって微妙に異なるため、自分の住んでいる場所はいくらなのかしっかりと調べることをおすすめします。最も大きなボーダーラインは年収130万円だということは必ず覚えておきましょう。
仮に扶養だった人の年収が130万円ちょうどだった場合、所得税や健康保険、年金などの支払い約18万円のため、実質の稼ぎは112万円ほどになってしまいます。
150万円程を稼げるのであればいいですが、130万円を少しだけ超すくらいであれば年収130万円未満に抑えたほうが得になります。
しかし、そうすると夫婦ともに正社員のときより給料は下がるため大きく世帯年収を増やすことは難しいです。
1人が正社員、1人が自営業など(扶養に入らない)
最近多くなってきた、自営業(フリーランス)という働き方を選択する人も増えています。基本的には先ほどの「1人が正社員、1人がパート・アルバイト」の場合と変わりません。
異なる点は、扶養に入らなかった場合の自営業の方が納める年金と将来の年金支給額です。
自営業の場合、支払う年金は厚生年金ではなく国民年金のため、将来もらえる年金は厚生年金を納めていた場合と比べて少なくなってしまいます。
年金とは別に国民年金基金やiDeCoなどを使って老後資金を作っておくと老後の不安を減らせるので、不安なのであれば活用しましょう。
夫婦共働きのメリット
夫婦働きには、年収を上げる以外にもさまざまなメリットが存在します。ここからはそのメリットについてご紹介します。
年収100万円までであれば住民税は0円
年収がどのくらいで住民税がかかるかは、地方自治体によってわずかに差があります。多くの自治体で年収100万円をボーダーラインにしている場合が多いですが、事前に調べておくと良いでしょう。
年収100万円以下であり住民税がかからないのであれば、この収入によるお金は全て自由に使えます。世帯収入では大きなプラスとは言えませんが、住民税がかからないのはメリットですね。
年収103万までであれば所得税は0円
所得税は年収103万円を超えると5%となり、それ以上は年収金額に応じて税率が変わります。
最低55万円の給与所得控除と48万円の基礎控除をあわせた103万円以下であれば、所得税の支払い義務はありません。そのため夫婦あわせて206万円までは所得税がかかりません。
所得分散が出来るため所得税が下がる
夫婦で同じ年収金額の場合、1人でその金額を稼ぐ場合と2人の合算での場合を比べると、所得税や住民税、社会保険料といった支払う金額に大きな差が出ます。
このような差が出てくる理由は、これらの支払金額が年収金額に応じて変動するためです。一例として、ある都市に住む年収500万の夫婦で例を紹介します。
税金 | 年収500万円(1人) | 年収500万円(共働き:350万円+150万円) |
所得税 | 101,600円 | 62,100円 |
住民税 | 214,100円 | 149,000円 |
社会保険料 | 700,000円 | 720,000円 |
合計 | 1,015,700円 | 931,100円 |
差額 | 84,600円 |
※共働きの場合、1人が350万円、1人が150万稼いでいるとする
必ずこの金額になるわけではありませんが、多くの場合、同じ年収でも共働きの合算のほうが税金面では安く抑えられます。
夫婦共働きのデメリット
一見メリットしかなさそうな共働きですが、当然メリットがあればデメリットも存在します。それでは見ていきましょう。
世帯年収を上げすぎると税金面で損
これは先ほどから何度か触れましたが、現在の日本は収入が増えれば増えるほど収めるべき税金は増えます。
夫婦間どの割合で稼ぐのか、1人がしっかりと稼ぐのかによってかなり変動しますが、年収が高くなる=裕福になるとは言い切れない面があります。特に言われているのが年収1,000万円です。
一見裕福な暮らしができそうな年収ではありますが、実際には税金類の割合が上がってしまうため手取り割合は82%くらいと言われています。つまり18%は税金で引かれます。
ただがむしゃらに世帯年収を上げてしまうと、支払う前金が上がっただけであまり余裕のある生活が出来ないという事態に成りかねません。
子ども関係の保証が受けられなくなる可能性がある
子ども関係の保証というのは主に児童手当や高校無償化です。後に金額もあわせて詳しく紹介しますが、これらの保証は子どもがいれば誰でも受けられるものではありません。
ほとんどの場合は年収制限があるため、当然ですがその制限に達する年収の場合は一切の保証が受けられません。
補償金額は大きいものが多く、それらの保証が一切無いとなると、年収は高いはずなのに子どもの養育費に追われる可能性があります。
共働きを行う際に最もお得な年収とは
扶養に入っている人の年収によっては、稼いでいるはずなのに税金などを支払うと意外と手元に残らなかったという事態になる可能性があります。
ではどれくらいの年収であれば、共働きのメリットを最大限に活かせることになるのでしょうか?
パート収入は130万を超えない
扶養に入っている人がパート・アルバイト勤務の場合、基本的は130万円を超えないほうが良いです。
130万円を超えると扶養から外れてしまうため、税金類や社会保険料などの支払い義務が発生します。
もしパート・アルバイトの年収が130万円を超えてしまうのであれば、諸々の支払金額よりも多い+20万、つまり年収150万を稼ぐほうがお得です。
子どもがいる場合は年収1,000万円よりも年収600万円
年収1,000万円と年収600万円では、1,000万円の方がかなり裕福な生活が出来るだろうと思われがちです。
しかし、年収1,000万円は税率などが異なるためあまり裕福とは言えません。
- 年収1,000万円の所得税率→33%に上がる
- 年収850万円以上給与所得控除→195万円固定
- 夫婦どちらかが年収960万円以上→児童手当がもらえなくなる
- 夫婦共働きで年収1,000万円以上→高等学校等就学支援金(※)の所得制限に引っかかる可能性が高い
共働き=収入が増えるとは限らない
いかがでしたでしょうか。世帯収入を上げるために共働きを選択する場合が多いですが、必ずしも収入が増えるとは限りません。
しかし1人で多く稼ぐより夫婦合算の方が得をする場合など、かなりややこしいです。
どの程度の年収が欲しいのか?その年収を実現させるためにはどのような働き方をすれば良いのか?その際の税率は?など、注意点は多くあります。
決して損をすることなく使えるお金を多くするために、少しずつ税金類について詳しくなっておきましょう。